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世界を反証する

  • ライター麻生泰子
  • 2016年6月25日
  • 読了時間: 2分

アマゾンの奥地には、現代社会とのつながりをもたない、原住民族の村がいくつも存在する。

なかでも「ピダハン」はすごい。左右の概念も、数の概念も、色の名前もない。

そんな、あやふやな世界のとらえ方(と思ってしまう)で、どうやってジャングルで暮らしていくのだろう、と読みすすめながら頭がかき混ぜられる。

しかし、彼らは、私たちが使い慣れた左右・色・数の概念を借りなくとも、

私たちよりクリアに自分たちを取り巻く世界をとらえ、

大自然を勇敢にサバイバルしていく。

一方、「ヤマノミ」は、

ピダハンの生活に比べるとまだこちらの固定観念を大きく裏切らない。

だが、生命に関しての記述は衝撃的だった。

生まれてくる子どもは少なからず、母親によって殺される。

家の男の狩りの収穫や嬰児の健康状態などを考え合わせ、母親は嬰児殺しに及ぶ。

野蛮、なのではない。生きるためなのだ。

子どもを殺した母親は、それから数日間、夜になると鋭い声を上げて嗚咽していた、という。

・・・

文化人類学的なフィールドワークの記録を残した本が好きだ。

自分たちとは違う価値観、生活習慣の中に暮らす人たちを垣間見ると

ふつふつと知る喜びが湧いてくる。

その喜びの理由は、今の自分たちの生活と比較することで

究極は、自分を知ることにつながるからではないかと考えていた。

しかし、もっと大きな意義があることに気づいた。

限界を破るには、反対側に行ってみることだ。

今の世の中は、物事の可能性の一面にしかすぎない、と感じること。

その世界の広さ、人間の果てしなさを知ることが“面白い”のだ。


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